治療法の選択時に生じる『心の葛藤や困惑』は当然のことです
治療法の選択時に生じる『心の葛藤や困惑』は当然のことです
体調が優れず病院に受診し、検査結果から思いがけない病名を伝えられ、治療や手術が必要に
なった時には誰もがショックを受けるのは当然のことです。
もしかしたら、頭が真っ白になり、冷静に話を聞けなくなるかもしれません。
色々な疑問が生じて不安になり、ネットで調べた結果、膨大な情報量により、さらに困惑してどうすればよいか分からなくなってしまうこともあります。
ただ、どのような治療にも優れた点や劣る点がありますし、治療を行うことで身体や日常生活に与える影響は人によって異なります。
そのため、治療法の選択は提示された内容についてよく理解した上で、当事者であるご本人様が「何を大切にしたいのか」を考えることがとても大切になると考えています。
家族間で生じる意見の相違がある時こそ、ご本人様の気持ちを優先する
お一人おひとり『病気』や『生』の価値観が異なりますので、ご家族の間で意見が異なることも当然のことかもしれません。
私は職業柄、病気の事や治療方針ついて相談を受けることがあります。
今回は友人のお義母様が胃癌の治療後、主治医から胃ろうの手術を勧められたケースをご紹介します。
※胃ろうとは手術で腹部に小さな穴を開け、チューブを通し、直接胃に栄養を注入することをいいます。
退院後、お義母様はご自分で食べたいものを作って、日々の生活を楽しまれていました。
しかし、数か月後だんだんと食事の量が減っていき、食べられなくなったそうです。
心配になって受診をしたところ、胃ろうを勧められたということでした。
友人は医師が勧める選択がお義母様にとって本当に良いかどうか不安になり、「来週までにどうするか決めて医師に伝えないといけないのに、家族の意見がまとまらないの。一体どうしたらいい?」と、とても慌てた様子で連絡がありました。
友人以外のご家族様は主治医が提案するのだから、胃ろうを創ったほう方が良いと考えられており、「私は嫁の立場だから強く言えない」と悩まれていました。
『納得のいく治療選択をする』には、不安や迷いを医療者に正直に伝える
友人やご家族様の気持ちを伺うと、「少しでも長生きをして欲しい」「90歳を過ぎて手術する必要はあるのかしら」とそれぞれの心情が見えてきます。大切なご家族だからこそ、悩むのも当然です。
しかし、治療の選択はお義母様の人生に関わるため、お義母様の気持ちを第一に優先していただきたいと思います。
もちろん、初めて聞く治療を提示されてもすぐに選ぶことができないのは当然ですし、十分に納得できないまま同意して治療に進むと、後から後悔することにもなりかねません。
納得のいく選択ができない時には「不安や迷い」を伝えることも大切です。
例えば「家族ともう一度、相談させて下さい。」「先生の説明は理解しましたが、他の先生のご意見も聞いてみたいです。」など伝えることもできます。
治療法をご本人が選ぶことは、あなたがあなたらしく生きるためにとても重要な選択です。
またセカンドオピニオンを受けることは、医療関係者の常識になっていますので、医師が気を悪くしないかと心配する必要はありません。
リリーフ広島ではそのようなご不安を少しでも軽減していただけるように、ご相談に乗らせていただきます。
また診察室まで一緒に付き添いし、中立な立場で医療者とご本人様やご家族様との懸け橋となるお手伝いをいたします。
次回は治療法の選択時に参考になる書籍をご紹介したいと思います。
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